2声自由対位法(自由:自由)

ここからは、定旋律(CF)は用いず、2つの声部が、それぞれ独自の動きをする対位を試みる。また(これまで書かれてきた「対位法」の教科書などの)伝統に従って、「第X種」という表現もこの対位法からは取っていない。 

 より丁寧な手獣として、「2:自由」、「掛留:自由」などという方法もあるだろうが、これまでの技術を磨いた学習者には「くどく」思われるため、省略して先に進めることにする。

 基本的には、これまでの対位法の組み合わせになるが、より創作的音楽作りに近いものになるだろう。

1)お互いが独立した旋律を構成するために、2つの声部が2小節以上に渡って同じリズムになることは避けるべきである。特に同じ音程の連続を2つの声部の1つ(だいたい下声部)が従属的になるので避ける。

2)掛留の解決において、解決音は進行して別の音にする事が出来る。その結果として、1つの小節が2つの和音からなることも起こりうるだろう。この場合にも、解決部は不完全協和音程(3度、6度)が望ましい。

3)しかしながら、以下のように、2声が独自の動きをしながら、同じ4分音符の連続(6つぐらいまで)はよく見られるものである。

4)また、上記の2)の2小節目で、最初の余拍(2つ目の4分音符)上声の動きに合わせて協和で別の音に動くことも可能であろう。しかし掛留の本来の解決音の存在が薄くなる(解決感が弱くなる)可能性もあるので、用いる場合は注意が必要であろう

この対位法の回答例を以下に示しておく

soundfiles

気がついた学習者もいると思うが、以上(譜例25)は、ほとんど譜例23の対位声部を用いて、それに対位旋律をつけたものである。

<モチーフMotivを意識した2声自由対位法>

1:自由までは、可能な限り多様な旋律やリズムの変化を求めたが、この対位法では、モチーフ(Motiv 動機:音楽の最も小さな単位で、それによって音楽全体を構成する原資となるもの)を意識した旋律作りに踏み込んでいくのがいいだろう。これは、「カノンcanonやフーガFuge」の予備的学習にもなるだろう。

「モチーフを意識する」方法としては、リズムや旋律を模倣することが考えられるが、もう少し高度な模倣技術(後述する「反行I」「逆行R」「拡大」「縮小」)など試みてもいいだろう。いくつか例示しておくので参考にしていただきたい。(譜例25を基にしている)

「模倣」のより多彩で高度な方法については、別に準備する「フーガとカノン」において詳説する。

Motivを使用することで、音楽にまとまりが出てくることが理解されより音楽的な追求が可能となろう。

更に、Motivを意識したものは、(模倣やフーガでも言えることだが)聴覚がより旋律の流れに引きつけられ、並達5度、8度など、これまで禁じられていたことが許容されることも出てきます。しかしその場合でも、上声がジャンプ(跳躍)して、完全5度、8度に到達することは避けなければならない。

ここで「古典対位法 I」(調性編)は終了です。<II>(「3声対位法」からフーガ書法まで)も近日公開しますので、ご期待下さい。ご利用ありがとうございました。soundfile も逐次追加していきます)

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