<1:3><1:6>

<1:3>

これまで、2拍子系の対位法を行ってきたが、今後の音楽の可能性を考えると、3拍子系も考えておくべきであろう。理由はわからないが、これらは従来の対位法理論ではあまり扱っていないように思われる。ここでは、1:4の拡張項目として、設定している。

 筆者が別に著している「パレストリーナ様式による対位法」でも扱っているので、その6拍子の項を参考にするのもいいだろう。

 この対位法は、3つの2分音符で表記される。第2種(1:2)の規則が有効となる。最初の2分音符は強拍であり、残りの2つは弱拍となる。

この対位法に合わせて、留意点は以下のようなものになる。


1)強拍は常に協和音程が持ちられる。のこり2つの2分音符では、経過音として不協和音程を用いることができるが、不協和を2つ続けることは避けなければならない。刺繍音も可能ではあるが、多用は避けるべきだ。

とはいえ、実施に際し、順次進行するCFに対して、刺繍音を用いることで、旋律的流れが形成されやすくなる。しかし安易に使いすぎると、意味のない音の流れになってしまうので、注意すべきなのである。

2)同度は、2つのどちらかの弱拍で用いることができる。

3)直接の連続1度、8度、5度、並達1度、8度、5度は禁ぜられる。間接(間を置いておこるもの)は、どちらかが経過的であれば問題はない。

4)1小節に2つ以上の和音が設定されることは避けるべきである。刺繍音などの使用により、その可能性が高くなるので注意する。

 あとは、ほぼ1:2のやり方に準拠する。いくつか例示しておく。

<1:6>

今日よく用いられる6拍子系1:6(3+3)、すなわち1小節に6つの4分音符 

の対位法を考えてみよう。

 6は、2+2+2と、3+3という拍子が考えられる。つまり、前者は3拍子で、前述の1:3の各拍子を2分割した形となり、後者は、2拍子の中を3分割した形となり、分けて考える必要があるだろう。2+2+2,すなわち、前述の1:3の2分音符を2つの四分音符に分割した形がより用いられている形ではある。Jeppesenの「対位法」でも、2+2+2の形の例示のみに留めている。

【2+2+2】(3/2)

 最初の2分音符が強拍となり、残り2つの2分音符が弱拍となる。つまり1:4に2つの四分音符が加わった形となり、基本的には1:4の留意点が継承される。

【3+3】(6/4)

 この例もいくつか挙げておく。2+2+2との違いは、2拍子系であるため、経過音あるいは刺繍音としての部分を除き、弱拍(4番目の四分音符)は、協和となる。

     (スラー記号は、拍を示している)

  譜例23と比較してみれば分かるだろうが、2+2+2と同一の動きも取れる部分も多いい。

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